海外ドラマ・フラーハウスの感想。シングルパパとシングルママなど

Netflixオリジナルドラマ・フラーハウスは、過去に日本でも人気だった海外ドラマ・フルハウスの続編?です。

つい先日から見始めて、まだ数話しか見てませんが思うところが多いので書き留めることにしました。ネタバレはちょっとあるけど、まあ設定程度のネタバレです。。

 

まずフルハウスたことない人いるのかな、前提として、前作フルハウスでは、シングルファーザーのダニー、ダニーの義理弟(亡くなった妻の弟)のジェシー、親友のジョーイといったおじさん三人組と、ダニーの三人娘DJ・ステフ・ミッシェルがメインキャラクターで、彼ら家族の物語なんですけど、途中途中から家族がだんだん増えていったりDJの友だちのキミーがメインばりに登場するようになります。

 

ほいで今回のフラーハウスでは、おじさんたちはゲスト扱いになり、シングルマザーになったDJ、妹のステフ、友だちのキミー、DJの息子のジャクソン・マックス・トミー、キミーの娘のラモーナがメインキャラの家族になります。

 

3人のおじさんと3人の子供たちと子どもの友だち(キミー)というメンバーから、3人のおばさんと3人の子どもたちと子どもの友だち(ラモーナ)というメンバーになり、対称的でおもしろいなって思ったんですけどたぶんこれは意図的なシンメトリーなんだろうなって思ったのが、人数が対称的であるだけでなく、登場人物の役割も対称的なところ。

まじめなシングルファーザーダニーとまじめなシングルマザーDJ、ダニーの義弟でミュージシャンのジェシーとDJの妹で歌手のステフ、友だちだけど家族なおちゃらけ担当のジョーイと同じく友だちだけど家族になったおちゃらけ担当のキミー。前作でキミーポジションだったのは今作ではラモーナになってて、キミーは前作では一緒には住んでなかったけどラモーナは同居人になる。そして前作の三姉妹に対称となる三兄弟、うち末っ子は赤ちゃんというところまで同じだ…そして飼い犬…徹底して対称的にしてきてるな。っていうのはたぶん前作からの視聴者は勘づくと思うけど。

特に第2話くらいでジェシーとステフが並んで座って会話する場面を見ると、そういうキャラクターの対称性が意図的なものだろうなというのがわかりやすい。

 

しかし僕が面白いなと思ったのは、そうやってキャラクターの数や役割は対称的にしてるのに、性別は、キミー⇔ラモーナ以外は全員性別が逆だということ。

前作で育児に悩むシングルファーザーと育児にてんてこ舞いするおじさんたちというテーマだったのが、育児に悩むシングルマザーと育児にてんてこ舞いするおばさんたちになってて、悩みの対象は同じようであるけども、性別が変わるだけで中身が変わってくるのが面白い。

第1話はシングルママ兼ワーママDJのワンオペ育児への大きな不安から始まる…。前作では、ダニーが、育児や家事をしてくれていた妻に先立たれて自分が不慣れな育児家事をやっていくことに不安がっていたが、DJは育児家事がまるきりできないわけではない。DJの不安の種は「働く女性のワンオペ育児」のことで、「旦那は家事育児できない」という認識だった80年代のあの時とは時代が違っているんだな…と思った。

また、前作では、姉妹であったDJ・ステフの姉妹ならではの衝突や悩みがあったが、今作ではジャクソンとトミーが兄弟なので、男兄弟ならではの衝突や悩みがあるのだろう……。キャラクターの数や役割は徹底的にシンメトリーにしてても、性別が違うだけでこんなにもネタ被りの心配が無くなるの?すごくない?て思う。いろんな意味でジェンダーを感じる。

 

感心したのは、徹底的な役割シンメトリーと徹底的な性別アシンメトリーのうえで、一方で前作キミーポジションであるラモーナを性転換させなかったこと、且つ、キミーは同居人じゃなかったのにラモーナは同居させたことだった。ラモーナだけが前作とは完全に異なる存在であってさらなるネタ切れ回避要因になるし、血は繋がってないけど同居してるという同学年男子ジャクソンとのラブコメが簡単に大量に展開できる。単純にすごい!と思った。

 

たぶんキャラクターのシンメトリーな部分は、前作と対比したかったり前作ファンの潜在的な懐かしさと続編ものとしての安心感を与えるためだったりするんだろうけど、ネタかぶりネタ切れが心配になってしまうところを、性転換したりラモーナという新要素を入れたりすることによって、今作もひとつの作品として独立して面白い作品にしたいという心意気を感じる。そういった意味で完璧なキャラクター設計だと思った。まだ数話しか見てないけどそんな印象。

 

っていうさ、設定時点からの感動を誰かに伝えたかったんだっていう話でした。